野球を見ていると、ピッチャーや外野手では左投げの選手をよく見かけますよね。
ところが、キャッチャーに目を向けてみると、ほとんどが右投げです。
「左利きのキャッチャーって、どうしていないの?」
「左投げではキャッチャーをできないルールがある?」
「もしかして左投げ用のキャッチャーミットが売っていないの?」
こんな疑問を持ったことがある方もいるのではないでしょうか。
実は、左投げの選手がキャッチャーをしてはいけないというルールはありません。
さらに、左投げ用のキャッチャーミットも実際に販売されています。
それでも左投げキャッチャーがとても少ないのは、三塁への送球や本塁でのプレーなど、野球の動きそのものと関係している部分があるんです。
また、「左利きだから絶対にキャッチャーには向いていない」というほど単純な話でもありません。
実際に左投げでキャッチャーを務めた選手は過去にもいますし、2026年の高校野球でも左投げ捕手が試合に出場しています。
この記事では、左利きのキャッチャーが少ない理由や左投げ用ミットの有無、実際に活躍した選手の例などをわかりやすく紹介します。
左投げのお子さんが野球を始めたばかりというパパ・ママも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
左利きのキャッチャーがいないのはなぜ?まずは結論

左利きのキャッチャーがほとんどいない大きな理由は、「左投げではキャッチャーができないから」ではありません。
野球の守備の動きを考えたときに、右投げのほうがキャッチャーとして動きやすい場面があることに加えて、そもそも左投げの選手が幼いころからキャッチャーを任される機会が少ないためです。
特に影響しやすいといわれているのが、三塁への送球です。
右投げのキャッチャーなら、捕球したあと比較的スムーズに三塁方向へ送球できます。
一方、左投げの場合は三塁へ投げるために体を回す動きが必要になりやすく、盗塁阻止のようにわずかな時間差が大切なプレーでは不利になる可能性があります。
また、野球では左投げというだけで大きな武器になるポジションがあります。
代表的なのがピッチャーです。
強いボールを投げられる左利きの子どもがいると、キャッチャーよりも先にピッチャーとして育てられることが多くなります。
そのため、
「左投げだからキャッチャーになれない」
というより、
「左投げの選手がキャッチャーとして育つ機会自体が少ない」
と考えたほうが実態に近いでしょう。
MLBでも左投げ捕手を禁止するルールはなく、1989年にはベニー・ディステファーノがピッツバーグ・パイレーツで実際に捕手として出場しています。
つまり、左利きのキャッチャーは「できない」のではなく、「さまざまな理由が重なって非常に少なくなっている」ということなんですね。
左投げ用のキャッチャーミットは売ってない?

「左利きのキャッチャーがいないのは、左投げ用のキャッチャーミットがないからなのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
ですが、これは正確ではありません。
左投げ用のキャッチャーミットは実際に存在しています。
ただし、右投げ用と比べると商品の種類や店頭での取り扱いが少ないため、「売っていない」と感じやすいのは確かです。
左投げ用キャッチャーミットは実際に存在する
左投げ用のキャッチャーミットは、右手にはめて左手でボールを投げるように作られています。
メーカーの商品によっては、右投げ用だけでなく左投げ用も選べるモデルがあります。
たとえばゼットでは、2026年に発売された軟式用「ネオステイタス」シリーズの捕手用ミットについて、右投げ用と左投げ用の両方を展開しています。
そのため、
「左利きの人はキャッチャーミットを買えない」
というわけではありません。
実際に高校野球などでも、左投げ用のキャッチャーミットを使って捕手としてプレーしている選手がいます。
左利きのお子さんが「キャッチャーをやってみたい」と言った場合も、道具そのものが理由で諦める必要はないんですね。
右投げ用より種類や流通量が少ない
左投げ用キャッチャーミットは存在しますが、右投げ用ほど選択肢が多いとは限りません。
そもそもキャッチャーの多くが右投げなので、メーカーや販売店も右投げ用を中心に取り扱うことになります。
そのため、スポーツ用品店へ行ったときに、
「右投げ用はたくさん並んでいるのに左投げ用がない」
ということもあるでしょう。
ただし、店頭になくてもメーカーの商品ラインナップやネット通販では左投げ用が見つかる場合があります。
左投げ用を探すときは、「左投げ用」「左投用」「RH」といった表記も確認してみてください。
野球用品ではメーカーによって左右の表記方法がわかりにくい場合もあるため、購入前に「どちらの手にはめる商品なのか」まで確認しておくと安心ですよ。
左利きキャッチャーが少ない4つの理由

左利きでもルール上はキャッチャーをできます。
それなら、なぜこれほどまでに左投げのキャッチャーは少ないのでしょうか。
ここでは、主に考えられる4つの理由を見ていきましょう。
1. 右打者がいると二塁への送球がしにくい
左投げキャッチャーが少ない理由として昔からよく挙げられるのが、二塁への送球です。
左投げのキャッチャーの場合、右打者が打席に立っていると、送球する側に打者がいる形になります。
盗塁を阻止するときは、キャッチャーがボールを受け取ってから素早く二塁へ投げなければなりません。
そのため、「打者が邪魔になって投げにくいのでは?」と考えられてきました。
ただし、この点については少し注意が必要です。
MLB公式サイトでは、右投げ捕手が左打者のいる状態で二塁へ送球した場合のデータなどをもとに、打者が投げる側にいることだけで盗塁阻止が大きく不利になるとは言い切れないという分析も紹介されています。
つまり、
「右打者がいるから左投げ捕手は絶対に二塁へ投げられない」
というほど決定的な理由ではありません。
打者を避けながら素早く送球するフットワークを身につければ、カバーできる部分もあると考えられます。
2. 三塁への送球で体の向きを変える必要がある
左投げキャッチャーにとって、二塁よりも構造的に不利になりやすいとされているのが三塁への送球です。
二塁走者が三塁へ盗塁した場合、キャッチャーはすぐに三塁へボールを投げなければなりません。
右投げキャッチャーの場合は、捕球したあと三塁方向へ比較的自然な流れで送球できます。
一方、左投げキャッチャーの場合は、三塁へ投げるために体を回す動作が必要になりやすくなります。
盗塁阻止では、ほんの一瞬の遅れがセーフとアウトを分けることがありますよね。
そのため、この小さな動作の違いが不利につながると考えられています。
MLB公式でも、左投げ捕手の三塁送球ではピボット動作が必要になりやすい点が、実際のデメリットとして挙げられています。
ただし、キャッチャーが三塁へ送球する機会は毎回あるわけではありません。
そのため、この点だけで「左投げはキャッチャーをしてはいけない」と決めるほどのものではないという考え方もあります。
3. 左投げの選手は投手や一塁手・外野手に回ることが多い
実は、左利きキャッチャーが少ない理由として、とても大きいと考えられているのが育成段階でのポジション選びです。
野球では左投げのピッチャーは貴重な存在です。
右打者とはボールが見える角度が違いますし、左打者との対戦でも左投手ならではの強みがあります。
そのため、小学生や中学生の段階で肩が強い左投げの選手がいると、
「ピッチャーをやってみない?」
と勧められることも多いでしょう。
さらに、左投げはファーストや外野手でも力を活かしやすいとされています。
こうして左投げの選手がキャッチャー以外のポジションへ進むことで、キャッチャーとして本格的に育てられる左投げの選手そのものが少なくなります。
MLB公式でも、強い肩を持つ左投げの子どもは投手になるケースが多く、アマチュア段階から左投げ捕手がほとんど育たないことが大きな理由として指摘されています。
「プロで左投げキャッチャーがいないから子どもにもやらせない」
「子どものころからやらせないからプロにも現れない」
という循環が続いている面もありそうですね。
4. 左投げ用キャッチャーミットの選択肢が少ない
先ほど紹介したように、左投げ用のキャッチャーミット自体は存在します。
ただし、右投げ用ほど多く流通しているわけではありません。
キャッチャーミットは一般的なグローブとは形が異なり、捕手専用に作られています。
左投げのキャッチャー自体が少ないため、左投げ用ミットを扱う商品も限られやすくなります。
「キャッチャーを少し試してみたいだけ」という段階で専用ミットを探すとなると、チーム側としても右投げの選手より準備しにくいことがあるでしょう。
過去には、左投げ捕手としてプレーした高校生が、中学時代の監督に左投げ用キャッチャーミットを用意してもらったという事例もあります。
一方で、現在も左投げ用キャッチャーミットを展開しているメーカーはあります。
そのため、以前と比べればネットなどを利用して探しやすくなっているといえるでしょう。
本塁でのタッチプレーも左投げは不利なの?

左投げキャッチャーについて調べていると、
「ホームでのタッチプレーでも不利になる」
という話を目にすることがあります。
確かに、右投げと左投げではグローブをはめる手が反対になるため、本塁へ走ってくるランナーへタッチするときの体の使い方も変わります。
一般的な右投げキャッチャーは左手にミットをつけています。
外野などからの送球を受け、そのまま走者へタッチしやすい場面があります。
一方、左投げキャッチャーは右手にミットをつけるため、送球されてくる方向や走者の位置によっては体を動かしてタッチする必要が出ることがあります。
ただし、これについても「左投げだから致命的に不利」とまでは言い切れません。
MLB公式の記事では、捕手指導の専門家から、左投げ捕手でも体の位置やタッチの仕方を工夫することは可能だという考えが紹介されています。
実際の野球では、送球が毎回まったく同じ位置へ来るわけではありませんよね。
右投げのキャッチャーでも、送球がそれれば体を動かして捕球し、そこからタッチしなければならないことがあります。
そのため、本塁でのタッチプレーは左投げ捕手にとって多少工夫が必要な場面ではあるものの、それだけを理由にキャッチャーができないわけではありません。
【比較表】右投げ・左投げキャッチャーの違い

ここまで紹介した内容を、右投げと左投げのキャッチャーで比較してみましょう。
| 比較ポイント | 右投げキャッチャー | 左投げキャッチャー |
|---|---|---|
| 二塁への送球 | 一般的な動作に慣れている選手が多い | 右打者が投球側にいる場合がある |
| 三塁への送球 | 比較的スムーズに投げやすい | 体を回す動きが必要になりやすい |
| 一塁への送球 | 体の向きを変える場面がある | 比較的投げやすい |
| 本塁でのタッチ | 左手のミットでタッチする | 右手のミットでタッチする |
| ミットの種類 | 種類が豊富 | 選択肢が少なめ |
| 選手数 | 非常に多い | 非常に少ない |
| ルール | 問題なし | 問題なし |
こうして見ると、左投げキャッチャーには確かに不利になりやすい場面があります。
特に三塁への送球は、右投げと左投げで動作に違いが出やすいところです。
一方で、一塁への送球など左投げのほうが動きやすい場面もあります。
そのため、「左投げはすべてのプレーで不利」というわけではありません。
右投げ捕手が圧倒的に多い現在の野球では、指導方法や練習方法、用具なども右投げを前提としているケースが多くあります。
こうした環境面も、左投げキャッチャーが増えにくい理由のひとつと考えられそうですね。
左利きでもキャッチャーをやることはできる?

ここまで読むと、
「結局、左利きの子どもがキャッチャーをやりたいと言ったら、やらせても大丈夫なの?」
と気になる方もいるかもしれません。
結論からいうと、左利きでもキャッチャーをすることはできます。
ルール上は左投げでもまったく問題ない
野球のルールに「キャッチャーは右投げでなければならない」という決まりはありません。
そのため、左投げの選手がキャッチャーとして試合に出場しても問題ありません。
実際、MLBでも左投げのキャッチャーが過去に出場しています。
現在ほとんど見かけないため「禁止されている」と思われることがありますが、あくまで野球界の慣習やポジションの特徴によって少なくなっているだけなんです。
右投げのキャッチャーが当たり前になりすぎたことで、
「キャッチャー=右投げ」
という感じが定着している部分もあるのでしょう。
少年野球では左投げキャッチャーもできる
少年野球の場合も、左投げだからという理由だけでキャッチャーができないわけではありません。
むしろ小学生くらいの段階では、どのポジションが合っているのかまだわからないことも多いですよね。
キャッチングが得意だったり、ピッチャーとのコミュニケーションが上手だったり、野球全体を見る力に優れていたりする子もいます。
そうした子が、
「キャッチャーをやってみたい」
と思っているのであれば、左利きだけを理由に最初から可能性をなくしてしまう必要はないでしょう。
実際にMLB公式の記事でも、少年野球で左投げ捕手としてプレーする子どもの例が紹介されています。
2026年のMLBドラフト上位指名選手を紹介した記事でも、少年野球チームで左投げ選手が捕手を務めていた事例が登場しています。
まずはいろいろなポジションを経験しながら、その子の得意なことを探していくのもよさそうですね。
レベルが上がるほど送球のわずかな差が影響しやすい
少年野球では問題なくプレーできていても、中学、高校、大学、プロとレベルが上がるにつれて状況は少し変わってきます。
野球のレベルが高くなるほど、走者のスタートや走るスピードも速くなります。
キャッチャーも、ボールを捕ってから二塁や三塁へ送球するまでの速さが求められるようになります。
そこで三塁送球などのわずかな動作の差が影響しやすくなります。
また、進学やチーム選びの段階で、
「左投げならピッチャーをやってほしい」
「ファーストや外野のほうが長所を活かせる」
と勧められることもあるでしょう。
その結果、年齢が上がるほど左投げ捕手が減っていくと考えられます。
ただし、本人に捕手としての高い能力があるのであれば、左投げというだけで可能性をゼロにする必要はありません。
技術やチーム事情を含め、指導者と相談しながら考えることが大切ですね。
実際にいた左利きキャッチャーの例

左投げキャッチャーは非常に珍しいものの、実際に存在します。
ここでは、プロ野球や高校野球、ソフトボールで確認されている例を紹介します。
MLB最後の左投げ捕手ベニー・ディステファーノ
左投げキャッチャーを語るうえでよく名前が挙げられるのが、ベニー・ディステファーノです。
ディステファーノは左投げの選手で、1989年にピッツバーグ・パイレーツでキャッチャーとして出場しました。
もともと一塁手や外野手としてプレーしていた選手ですが、チームの選手枠を有効に使うため、緊急時のキャッチャーとして練習するようになりました。
1989年にはMLBで3試合、合計6イニングにわたってキャッチャーを務めています。
そして2026年現在も、MLBの公式戦で捕手として出場した最後の左投げ選手とされています。
数試合だけとはいえ、世界最高レベルのMLBで実際にキャッチャーとして守っていたというのは興味深いですよね。
「左投げだからキャッチャーは絶対にできない」というわけではないことがよくわかる例です。
MLBには過去にも左投げ捕手が存在した
ディステファーノ以前にも、MLBには左投げのキャッチャーがいました。
特に有名なのが、19世紀に活躍したジャック・クレメンツです。
クレメンツは左投げながらキャッチャーとして長期間プレーした珍しい選手で、MLB公式では捕手として1000試合以上に出場した唯一の左投げ選手と紹介されています。
また、1958年にはデイル・ロング、1980年にはマイク・スクワイアーズが、短いイニングながら左投げで捕手を務めています。
つまり、左投げキャッチャーは現代ではほとんど見られなくなったものの、野球の歴史から完全に存在しなかったわけではないんですね。
日本でも左投げキャッチャーの実例がある
日本でも、左投げキャッチャーとしてプレーした選手の例があります。
特に知られているのが、2000年夏の甲子園に出場した沖縄県立那覇高校の長嶺勇也選手です。
長嶺選手は左投げながらキャッチャーを務め、甲子園の舞台でもマスクをかぶりました。
また、2020年には大阪の和泉総合高校で高野巧選手が左投げ捕手としてプレーしています。
高野選手は中学1年生のころからキャッチャーを務め、左投げ用のミットを使って高校野球でも捕手として出場しました。
さらに最近では、2026年7月の奈良大会でも青翔高校の近藤良樹選手が左投げ捕手として出場しています。
近藤選手は本職が投手と外野手でしたが、チーム事情などから捕手へ抜擢されました。
「左投げキャッチャーは昔だけの話」と思ってしまいそうですが、現在の高校野球でも実際にプレーしている選手がいるんですね。
ソフトボールで活躍する左投げ捕手ジョセリン・エリクソン
ソフトボールにも左投げのキャッチャーがいます。
その代表的な選手のひとりがジョセリン・エリクソンです。
エリクソンは左投げのキャッチャーとして大学ソフトボールで活躍し、フロリダ大学では守備力を評価するRawlings Gold Gloveも複数回受賞しています。
2026年にはAthletes Unlimited Softball Leagueのシカゴ・バンディッツでプレーしており、左投げキャッチャーとして注目されています。
ソフトボールでも左投げ捕手は決して多い存在ではありません。
それでも、高いレベルでキャッチャーとして活躍する選手が実際にいることは、
「左投げだから捕手は無理」
という固定観念を考え直すきっかけになりますよね。
左利きキャッチャーが今後増える可能性はある?

現在のプロ野球では、左投げキャッチャーを見ることはほとんどありません。
では、これから左投げキャッチャーが増える可能性はあるのでしょうか。
すぐにプロ野球で増えるとは言い切れませんが、「左投げだから最初からキャッチャーをさせない」という考え方が変われば、将来的に登場する可能性はあります。
左投げだから捕手になれないというルールはない
何度かお伝えしているように、左投げキャッチャーを禁止するルールはありません。
右投げが圧倒的に多いのは、三塁送球など右投げのほうが動きやすいプレーがあることに加え、長い野球の歴史のなかで「捕手は右投げ」という考えが定着しているためでもあります。
しかし、野球の戦術や選手育成に対する考え方は少しずつ変化しています。
かつて当たり前だと思われていた戦術が、データ分析によって見直されるケースも珍しくありません。
左投げキャッチャーについても、
「本当にすべての場面で大きく不利なのか?」
と改めて考える動きが出てくれば、チャレンジする選手が増える可能性はありそうです。
固定観念が左投げ捕手を少なくしている面もある
左投げキャッチャーが増えない大きな壁のひとつが、
「左投げはキャッチャーをしないもの」
という固定観念です。
キャッチャーとして育てなければ、当然ながら上のレベルでも左投げ捕手は現れません。
MLB公式でも、左投げ捕手がいないために左投げの子どもを捕手として育てず、その結果さらに左投げ捕手が現れにくくなるという面が指摘されています。
もちろん、右投げのほうが有利なプレーが存在することも事実です。
そのため、「左投げ捕手がこれから一気に増える」と考えるのは現実的ではないでしょう。
それでも、
キャッチングが上手い。
リードが上手い。
ピッチャーから信頼されている。
肩が強い。
野球全体を見る力がある。
こうしたキャッチャーとして大切な能力を持つ選手が、左投げという理由だけで候補から外れてしまうのは少しもったいないですよね。
実際に現在でも左投げ捕手としてプレーしている選手がいることを考えると、今後新しいタイプのキャッチャーが現れる可能性は十分にあるでしょう。
左投げの子どもに向いている野球のポジション
左投げの子どもが野球を始めると、
「どのポジションが向いているんだろう?」
と気になるパパ・ママもいると思います。
もちろん本人の希望や得意なプレーが一番大切ですが、左投げの特徴を活かしやすいとされるポジションもあります。
ピッチャー(投手)
左投げの選手にとって代表的なポジションがピッチャーです。
野球では右投げのピッチャーが多いため、左投げというだけでも打者から見えるボールの角度が変わります。
特に左打者にとっては、左投手ならではのボールの軌道が打ちにくく感じられることがあります。
そのため、肩が強くコントロールも良い左投げの選手は、ピッチャーとして期待されることが少なくありません。
また、一塁ランナーに正面を向く形で投球できるため、けん制にも左投手ならではの強みがあります。
ただし、左利きだから必ずピッチャーにしなければならないわけではありません。
本人が投手を楽しめるかどうかも大切にしたいですね。
ファースト(一塁手)
ファーストも左投げの選手が活躍しやすいポジションです。
一塁手は内野手から送られてくるボールを受ける機会が非常に多いため、安定したキャッチングが求められます。
左投げの場合、ボールを捕ったあと二塁や三塁へ送球するときに体の向きを作りやすい場面があります。
また、一塁へけん制球が来たときのタッチも行いやすいというメリットがあります。
「ボールを捕るのが得意」
「体が大きい」
「内野でプレーしたい」
という左投げの子なら、ファーストを経験してみるのもよいでしょう。
外野手
レフト・センター・ライトといった外野も、左投げの選手が問題なく活躍できるポジションです。
外野手には、広い範囲を守る走力だけでなく、遠くまでボールを投げる肩の強さも求められます。
そのため、強いボールを投げられる左利きの選手なら、その長所を活かしやすいでしょう。
特にセンターやライトでは、長い距離を送球する場面もあります。
足が速く、肩が強い子であれば外野手として大きな武器になる可能性がありますよ。
ピッチャー、ファースト、外野手は左投げの選手が比較的選びやすいポジションですが、子どものうちはひとつに絞りすぎず、さまざまな守備位置を経験するのもよいでしょう。
左利きの子どもがキャッチャーをやりたいときはどうする?

左利きのお子さんが、
「キャッチャーをやりたい!」
と言ったら、どうすればよいのでしょうか。
プロ野球では左投げキャッチャーがほとんどいないため、親としては「やめさせたほうがいいのかな」と心配になってしまうかもしれません。
ですが、子どもの段階であれば、左投げというだけで最初から諦めさせる必要はないでしょう。
無理に右投げへ矯正する必要はない
キャッチャーは右投げが多いからといって、左利きの子どもを無理に右投げへ変える必要はありません。
利き手は、その子にとって自然に扱いやすい側です。
無理に反対の手で投げようとすると、思うようにボールを投げられず、野球そのものが楽しくなくなってしまうことも考えられます。
もちろん、もともと左右どちらでも投げられる子もいます。
その場合は指導者と相談しながら試してみてもよいですが、
「キャッチャーをやるなら絶対に右投げにしなければならない」
と考える必要はありません。
左投げのまま活かせるポジションもたくさんありますよ。
本人がやりたいポジションを尊重する
子どもの野球では、
「どのポジションが将来有利か」
だけでなく、
「本人がどこをやりたいのか」
も大切です。
キャッチャーは、毎回ピッチャーからボールを受け、守備全体を見ながらプレーする特別なポジションです。
「キャッチャーが楽しい」
「ピッチャーと一緒に打者を抑えるのが好き」
「試合中ずっとボールに関われるのが好き」
と感じる子もいるでしょう。
そんな気持ちを持っているのであれば、一度経験してみることには大きな意味があります。
その結果、
「やっぱりピッチャーのほうが楽しい」
となっても問題ありません。
反対に、
「左投げだけどキャッチャーが一番好き」
となるかもしれません。
子どものころはいろいろなポジションを経験することで、自分でも気づかなかった得意なことが見つかる場合がありますよ。
チームの指導者と相談して決める
実際に左投げでキャッチャーをやりたい場合は、チームの監督やコーチにも相談してみましょう。
左投げ捕手についての考え方は、指導者によっても異なります。
「まずはやってみよう」と考える指導者もいれば、「将来を考えると別のポジションのほうがよい」と考える指導者もいるでしょう。
大切なのは、
「左利きだからダメです」
だけで終わらせるのではなく、その子の能力や希望を含めて考えてもらうことです。
実際、日本の高校野球でも左投げ捕手が試合に出場しています。
2026年の奈良大会で左投げ捕手を起用した指導者も、一般的なセオリーだけにとらわれず、チームの勝利を考えて選手を捕手へ起用したと話しています。
キャッチャーとしての適性があり、本人もやりたいと思っているのであれば、まず挑戦してみるという選択肢もありますね。
まとめ:左利きキャッチャーは不可能ではないが送球面で不利になりやすい
左利きのキャッチャーが少ない理由について紹介しました。
左投げの選手がキャッチャーをしてはいけないというルールはありません。
左投げ用のキャッチャーミットも実際に販売されているため、「ミットがないからキャッチャーになれない」というわけでもないんです。
左投げキャッチャーが少ない理由として大きいのは、三塁への送球で体を回す動きが必要になりやすいことや、左投げの選手がピッチャー、ファースト、外野手など別のポジションへ進むことが多い点です。
また、「キャッチャーは右投げ」という長年の固定観念によって、子どものころから左投げの選手が捕手として育てられる機会そのものが少ないことも関係しています。
一方で、MLBではベニー・ディステファーノをはじめ、過去に左投げでキャッチャーを務めた選手がいます。
日本でも2000年夏の甲子園に出場した那覇高校の長嶺勇也選手や、2026年の奈良大会で捕手を務めた近藤良樹選手など、実際の例があります。
つまり、
「左利きだからキャッチャーは絶対にできない」
というわけではありません。
特に子どものころは、最初からポジションの可能性を狭めすぎず、本人が楽しみながらいろいろな守備位置を経験することも大切です。
左投げには左投げならではの魅力があります。
キャッチャーに挑戦してみるのも、ピッチャーやファースト、外野手で強みを活かすのも、その子に合った野球の楽しみ方のひとつですよ。

